相続不動産を査定するときの注意点
相続によって不動産を引き継いだ場合、売却を検討する前にまず「査定」を受けることが重要です。しかし、相続不動産には通常の売却とは異なる注意点があり、事前に理解しておかないと手続きが進まなかったり、思わぬトラブルに発展することもあります。
第一の注意点は「名義の確認」です。相続不動産は被相続人(亡くなった方)の名義のままになっているケースが多く、そのままでは売却できません。相続登記を行い、相続人の名義に変更する必要があります。2024年から相続登記は義務化されており、怠ると過料が科される可能性もあるため早めの対応が求められます。
次に「相続人間の合意形成」です。不動産は分割が難しい資産であるため、複数の相続人がいる場合には全員の同意が必要となります。査定を依頼する段階でも、誰が主体となって手続きを進めるのかを明確にしておかなければなりません。合意が不十分なまま話を進めると、売却の途中で意見が割れ、契約が白紙になるリスクもあります。
また、相続税や譲渡所得税といった税金の問題も見逃せません。特に相続してから3年以内に売却すると、取得費加算の特例が使える場合があり、税負担を軽減できる可能性があります。こうした制度を理解し、必要に応じて税理士に相談することも大切です。
さらに、空き家となっている不動産では、劣化や管理不足が査定額に大きく影響します。雑草やゴミの放置、雨漏りなどは減点対象となるため、査定前に最低限の清掃や修繕を行っておくことが望ましいでしょう。
相続不動産の査定は、法的・税務的な要素が複雑に絡みます。早めに名義や合意、税金の確認を済ませ、専門家のアドバイスを受けながら進めることで、スムーズな売却につながります。
