空き家をそのままにしておくリスク
相続や転居で使わなくなった家を「とりあえずそのままにしておこう」と考える人は少なくありません。しかし、空き家を放置することには大きなリスクが伴います。特にここ数年は空き家問題が社会的にも注目されており、所有者にとっては経済的・法律的な負担となる可能性が高まっています。
まず最も分かりやすいリスクは「建物の劣化」です。人が住まない家は通気や掃除が行き届かず、数年放置するだけでカビや雨漏り、害虫被害などが一気に進みます。劣化が進むと建物の価値は下がり、いざ売却しようとしても修繕費用がかさんでしまうことがあります。
次に「防犯上の問題」です。空き家は不審者に狙われやすく、不法侵入や放火のリスクが高まります。地域の景観を損なう原因にもなり、近隣住民とのトラブルに発展することも珍しくありません。
さらに、空き家にかかる固定資産税も無視できません。居住用住宅には税額が軽減される特例がありますが、管理が不十分で「特定空き家」と認定されると、その特例が外れて税額が6倍に跳ね上がるケースがあります。これは所有者にとって大きな経済的負担となります。
また、空き家を放置したまま相続が重なると、所有者が複数に分かれて合意形成が困難になり、売却や活用が一層難しくなるリスクもあります。
こうしたリスクを避けるには、売却や賃貸、解体など具体的な活用方法を早めに検討することが重要です。特に利用予定がない場合は、査定を受けて市場価値を把握し、最適な処分方法を選ぶことが所有者の責任といえるでしょう。
